今日はクリスマスイヴ。正午に古都トウルクの大聖堂の鐘が打ち鳴らさ
れ「クリスマスの静寂」が全国に宣言される。これは1320年から続
けられている習慣で、フィンランドは中世の600年の長きにわたって
、スウェーデン王国の一部であった。ナポレオン戦争で敗れ、それから
帝政ロシアに組み入れられるが、1917年のロシア革命を機に念願
の独立を果たす。こんな史実を高校初年の頃に知り、フィンランドへの
興味をかき立てられた。「クリスマスの静寂」の言葉通り街には人影
もなくなる。ホテルやレストランも商店も皆クローズされ、26日まで
の3日間は皆自分の家で(家族親族だけで)クリスマスを祝うのだ。
ピアノも弾けないから、この3日間は楽譜を眺めているしかない。北欧
のクリスマスは綺麗でしょうね。パーティーなどもあって楽しいのでしょ
うねとよく聞かれるが、事実はこの通り。大いに違う。
これももう60年前「北緯60度の恋」というフランスの小説を読んだ。
ゴンクール賞という文学賞を受けたもので、パリ育ちの青年がノールウェ
イ娘と恋に落ち、クリスマス時期のオスロでまったく不思議な経験をする
物語だが、いまの日本人もこの「北緯60度の恋」をフィンランドでして
しまうのではないかと思う。